「取り入れやすいダイエット法」として注目されている「16時間断食ダイエット」、しかし「正しいと言われている方法」にはいくつかの説があります。
例えば「断食中に飲んでいいものは？」という問いに、「水やお茶、ブラックコーヒーなどノーカロリーのもの」という説もあれば、「酵素ドリンクやプロテインはOK」という説もあります。
今回はインターネット上で出回っている「16時間断食で飲んでいいものは？」という問いに対し、筆者が参考にしているいくつかのサイトや本を検証して、ファスティング効果を上げるには「これが一番妥当かな」と思われる答えを紹介します。
16時間断食ダイエットの効果とは
体質改善・若返り効果
- 細胞レベルでの若返る「オートファジー効果」は、16時間断食ダイエットの肝。長時間のファスティングによって身体が飢餓状態になり、細胞が不要となった自分自身のタンパク質を食べて、新しいタンパク質に生まれ変わらせる作用。
- 長時間の断食で消化器官を休めることにより、消化機能や代謝機能、腸内環境が整い、体質改善効果が期待できる。
ダイエット効果
- 16時間断食により摂食時間が減り、必然的に食べる量が控えられ、一日の摂取カロリーが抑えられる。
- オートファジーによって細胞内のミトコンドリアが新しくなり、エネルギー生産がアップし基礎代謝も上がる。
メンタル改善の効果
- 16時間ファスティングによって消化器官が休められ、腸内環境が改善してメンタルも安定。
16時間断食中に飲んでいいものは？
16時間断食ダイエットを行うにあたって「断食中に飲んでいいものは？」という問いに対し、よく見られるパターンをあげてみました。
- 水やお茶、ブラックコーヒー、炭酸水などカロリーが無いもののみ
- カロリーが無い飲み物にくわえ、酵素ドリンク
- カロリーが無い飲み物にくわえ、プロティン
どれももっともらしいし、胡散臭い…。いったい出どころはどこなのでしょうか。
「16時間断食」の火付け役 青木 厚医学博士の見解は？
2019年に出版された『「空腹」こそ最強のクスリ』（青木厚：著）は、16時間断食の火付け役となった本です。
この本の中で青木博士は、下記のようなことを書かれています。
それと青木厚博士へのインタビューをまとめた「LEE」のサイトでは、このようなことも書かれていました。
https://lee.hpplus.jp/column/2163998/
青木博士の見解は、「16時間断食中に飲んでいいものはカロリーの無い飲み物」「どうしても空腹に耐えられない時はナッツなど糖質が微量なものを食べる」ということです。
断食時間にＮＧなものは糖質（特にブドウ糖）だということを言っています。
「リーンゲインズ」考案者のマーティン・バークマン氏の見解は？
「リーンゲインズ」とは16時間ファスティングと筋トレを合わせ、効率よく減量と筋肉増強ができるトレーニング法です。その考案者であるマーティン・バークマン氏は自身のホームページで、下記の記事を発信しています。
https://leangains.com/the-leangains-guide/
この記事で注目してほしい箇所は、「Key points」という項目です。
「キーポイント」
断食段階ではカロリーを摂取してはいけませんが、コーヒー、カロリーフリーの甘味料、ダイエットソーダ、シュガーフリーのガムは問題ありません（微量のカロリーが含まれている可能性がありますが）。 コーヒーに少量のミルクが入っても何の影響もありません (1 カップあたりミルクの量はせいぜい小さじ 1/2 ～ 1 杯です。コーヒーをたくさん飲む場合は、控えめに使用してください)。
マーティン・バークマン氏の見解では「16時間断食中に飲んでいいものはカロリーのない飲み物（しかし、小さじ1/2のミルクほどの微量カロリーならOK）」ということになります。
そして「Fasted training」という項目では、トレーニングを行う5分～15分前に「BCAA（分岐鎖アミノ酸）」10gを摂取するように提案。
しかもトレーニングの時間帯を「断食時間の終了時」と「真っただ中」の2パターン提案しています。
▼ちなみにリーンゲインズとマーティン・バークマン氏についてガッツリ知りたい人は、こちらのサイトを参照ください！
https://athletebody.jp/intermittent-fasting/
酵素ドリンクとBCAAのちがいは？
では、16時間断食ダイエットの「断食中」に飲んでも良いものの候補にあがっている「酵素ドリンク」と「BCAA」のちがいを見ていきましょう。
酵素ドリンク
色々なサイトで「16時間断食中に飲んでいいもの」として紹介されている酵素ドリンクは、主に「ジュースクレンズ」というファスティングに使われる飲み物です。一定期間に固形の食物を控え消化器官を休め、多種多様の野菜や穀物、それらの酵素が入ったジュースを飲むことによって身体の機能アップや回復を試みる健康法です。
酵素ドリンクには、何十種類もの身体に良い野菜や果物などのエキスが入っていて、酵素の働きで発酵させて栄養素を増やしているドリンクです。…が、しかし飲みやすくするために糖質が入っているものが多数。ガラクトオリゴ糖やアガベシロップなど比較的ダイエット向けの糖質が主流ですが、中には「ブドウ糖」が入っているものもあります。
言わずもがな、果物が原料として入っている時点で、ガッツリ糖質は入っていますね！
そしてもう一つ気になる点の、酵素ドリンクの名前の由来である「酵素」ですが、「酵素」自体はタンパク質で出来ているため、消化器官に入るとアミノ酸に分解されてしまいます。そして身体の中で再び「酵素」として働くことは無いということです。
▼参考サイトはこちら
https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/2226/#
BCAA
マーティン・バークマン氏のサイトでは16時間断食と共に、筋トレ前のBCAA摂取が提案されていました。
BCAAとは、Branched Chain Amino Acidの略で、分岐鎖（ぶんきさ）アミノ酸と呼ばれています。
タンパク質の原料であるアミノ酸は全部で20種類あり、その中でも必須アミノ酸と言われる「体内で合成できないアミノ酸」は9種類あります。BCAAはその中のバリン、ロイシン、イソロイシンの3種類を指します。
BCAAは特に筋肉合成には欠かせないアミノ酸で、ファスティングや激しい運動によって減少しがちな成分です。そのためBCAAを運動前に摂取することは、筋肉増強させる効果や、16時間断食による筋肉減少をおさえる効果があります。
市販のものは粉末（ドリンク用）やカプセルがあり、粉末は飲みやすいようにカロリーオフの甘味料が使われているものが多いです。…が、中にはブドウ糖使用のものあるので、その点は注意を！
ちなみに、カロリーオフ甘味料が苦手な筆者は、ドリンクのかわりにBCAAカプセルを飲んでいます。
16時間断食で酵素ドリンクはNG？
結論から言うと、16時間断食ダイエットでの酵素ドリンクは、「摂食時間中（食べても良い時間）は飲むと健康効果やダイエット効果が期待できる」けれど、「断食時間中は控えた方が良い」ということです。
特に「オートファジー効果を狙うなら飲んだらNG」の方が正しいと思います。
そして16時間断食で「筋肉増強を狙いたい」「筋肉を減らしたくない」という人は、運動や筋トレ前にBCAAやEAA （その他のプロテイン）を摂取すると効率的だという結果になりました。ただしBCAAやEAA もカロリーがあるので、オートファジー効果を完全に狙えるかは微妙です。
確実に「オートファジー効果」を狙いたいのならば、断食時間の最後（摂食時間に切り替わる時）に運動時間を設定し、運動前（もしくは運動直後）にBCAA（EAA）を摂取するようにするといいでしょう。
▼ちなみにBCAAとEAAのちがいはこちらのサイトで確認ください
https://www.josai.ac.jp/josai_lab/161/#BCAAEAA
断食時間中に飲んだら良いもの・NGなもののまとめ
【オートファジーを発動させるなら】
・お茶・水・ブラックコーヒーなど（ノンカロリーのもの）
・断食時間の終了時、もしくは摂食時間のはじめの筋トレ前後に飲む、BCAAやEAAなどアミノ酸系の飲み物はセーフ
【断食中に激しい筋トレをする場合（オートファジーにはNG）】
・BCAAとEAAのドリンク（それ以外のアミノ酸系飲料は、糖原性アミノ酸を多く含むものがあるので避けた方が無難）
【NGなもの】
・糖質（ブドウ糖）を含むもの、カロリーのあるものすべて
・野菜・果物100％ジュースやスムージー
・プロテイン
・牛乳・豆乳
以上になります。
ひとことで16時間断食といっても色々な段階があり、人それぞれ求める効果が違います。自分自身の求める効果に適した方法で、実行するようにしてください。
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